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過去のマンスリー・トピックス
毎月、企業や社会の諸活動の中で気になるテーマ・話題に関するひとことエッセイや、とても有用な書籍へのひとこと書評を掲載中。 最新号、及びその他の過去のトピックスはこちらから。
◆2011/12
2012年をより佳く展望していくために…  ~自分自身の“幸せ観”を考察する
未曾有の大震災と原発事故…。本邦自動車産業界の方々が同産業の苦渋の要因を称した言葉として有名になった超円高をはじめとする“六重苦”は、わが国の多くのメーカーのSCM上とても重要な拠点となっているタイの洪水惨禍も相まって、六重苦どころか、七重苦、八重苦…に。
私どものお客様も多くが大きな被害を受け、その傷が未だ癒えないまま、2011年が終わろうとしています。
ダイナアーツが創業(1993年)して以来、日本経済はもっとも厳しい状況にあると言っても過言ではありませんが、今こそ、祖先から引き継いだ不屈の精神と知恵と努力によって、2012年という年が新たな発展に向けた礎の年となるよう、皆様とのご縁を大切にしながら、精一杯尽力して参りたいと思っています。

さて年末…、世間、社会全体が1年を振り返り、大なり小なり、多かれ少なかれ、明くる新年への新たな展望を講じる時期です。
今月のマンスリートピックスでは、そんな“思索”において多少なりともお役に立つであろう参考図書…つい最近出会った本ですが、ご紹介します。

アメリカ・ハーバード大学で、もっとも人気のある授業は、経済学入門でも、リーダーシップ論でもありません。もっとも受講者が多いのは、2002年から始まった授業、「ポジティブ心理学」だということです。講師は、あのタル・ベンシャハー(Tal Ben-Shahar)。
数々の学生の人生を変え、ハーバードで最大の履修者がつめよせた「幸せになるための授業」、その人です。
2002年、わずか6名で始まった小さなゼミが、その内容の噂が噂を呼び、いつしか受講生が100倍以上の超巨大授業に(2010年受講者数855名)。CNNやCBS、『ニューヨーク・タイムズ』『ボストン・グローブ』など全米メディアの話題をさらった「伝説の授業」の主役です。
ですが、小欄でご紹介するのは彼の著作ではありません。その「ポジティブ心理学」をベンシャハー氏を補佐する立場の主任講師として、コース設計と授業を手伝ったのが、 ご紹介したいこの本「幸福優位7つの法則」の著者、ショーン・エイカー(Shawn Achor)氏です。
私たちは、通常「努力すれば成功する。成功すれば幸せになれる」という順番で考えてしまいがちです。
例えば、「お金さえあれば」、「異性にモテたら」、「この仕事がうまくいったら」、もっと幸せになれる…と。 しかし、エイカー氏はこの考えは、順序が逆だと指摘しています。 もし、成功が幸せをもたらすのであれば、何らかの目標を達成した人は、みな幸せになっている…と。
実際には、一つの目標を達成しても、成功のゴールポストは更に先に追いやられ、幸せは地平のかなたに遠ざかっていく。エイカー氏が本書で説明するのは、ハピネス・アドバンテージ。“幸福の持つ優位性”です。 つまり、先に幸福になり、脳がポジティブな状態になれば、それが競争力の源泉となり、成功をもたらす可能性が高くなる。 「幸せは、成功に先行する」 エイカー氏1600人のハーバード大学生と、フォーチュン500に選ばれた世界的大企業10社を対象に行った研究でこれを実証しました。
そして、この調査で見つけたのが、本書で紹介される 「幸福優位の7つの法則」です。

法則1 ハピネス・アドバンテージ~幸福感は人間の脳と組織に競争優位をもたらす
法則2 心のレバレッジ化~マインドセットを変えて仕事の成果を上げる
法則3 テトリス効果~可能性を最大化するために脳を鍛える
法則4 再起力~下降への勢いを利用して上昇へ転じる
法則5 ゾロ・サークル~小さなゴールに的を絞って少しずつ達成範囲を広げる
法則6 20秒ルール~変化のバリアを最小化して悪い習慣をよい習慣に変える
法則7 ソーシャルへの投資~幸福優位性を仕事に家庭に人生に応用する

エイカー氏、そして前出のベンシャハー氏が取り組まれている領域は、従来それまでの心理学が、怒り、恐れ、不安、鬱、などのネガティブな現象に注目してきたと言えることに対して、特に1990年代後半から、その従来の流れに逆らうように、幸せ、喜び、人生の充足など、人間のポジティブな現象に注目し、「幸せに生きるためには何が大事なのか?」、という領域に対して盛んに追及研究されることになったアカデミックなものです。
幸せや人生の充足などといったテーマは、従来は宗教や自己啓発セミナーなどが中心となり、大きな成果を挙げてきました。その証拠に、本屋のコーナーには必ず、「自己啓発コーナー」なるものがあります。ですが一方で、経験則やカリスマ的人物に頼ったその「自己啓発」の手法は、どこか胡散臭いイメージをぬぐいきれないでいたのも、一方で事実だったのではないでしょうか。
前出のベンシャハー氏と共に、本書著者のエイカー氏のベースは、「人の幸せ」という曖昧模糊とした概念に、堅牢な理論的基盤を与えるものとして誕生し生成されてきたとてもユニークな学問領域だと思います。

ついでに…ですが、この本を読みながらある本の一節を思い出しました。
「幸福だから笑うわけではない。むしろ、笑うから幸福なのだと言いたい」
アラン (Alain) というペンネームで知られるフランスの哲学者、エミール=オーギュスト・シャルティエ(Emile-Auguste Chartier)の「幸福論」の一節です。
人間の心は外的条件に大きく左右されます。とすれば正しい(適切な…と言うべきでしょう)判断には意志が必要です。この一節…“微笑んでみてごらん―幸福の本質が見えるから…”。ドイツ的観念哲学ではなく実践的な幸福論として、夫婦、死、仕事,etc…を説くフランス哲学者アランの優しさあふれる語録です。

不安を掻き立てる、そして、心が折れそうになるような情報があまりにも多かった2011年。年末から年始…、2012年をより佳く展望し、自らを奮い立たせるために…。
上記ご紹介した書籍を是非読んでみてください。
(加藤)
  


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