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過去のマンスリー・トピックス
毎月、企業や社会の諸活動の中で気になるテーマ・話題に関するひとことエッセイや、とても有用な書籍へのひとこと書評を掲載中。 最新号、及びその他の過去のトピックスはこちらから。
◆2011/6
“感動のサッカーチャリティーマッチと日本プロ野球の迷走”
~ 理念・ビジョン・経営戦略の大切さを考える ~     

プロ野球とサッカー。
どちらも日本人に親しまれている二大メジャースポーツです。
しかし、震災直後の対応で、評価は大きく分かれました。

日本プロ野球(以下NPB)はセ・リーグ、パ・リーグ、選手会の足並みが揃わず、開催問題で混迷。一方のサッカー(以下Jリーグ)は早々に3月中の公式戦延期を決め、いち早く一昨日のチャリティーマッチを実現し、被災地、日本を元気づけてくれました。

もちろんNPBの各選手や球団も個々にはチャリティーやボランティアなども行いました。
しかしその温度差・考え方は球団毎で大きく違っているように見え、結果として一丸で震災支援に取り組んでいるJリーグ、と自分たちのことのみを考えている(ように見える)NPB、という評価につながっていたように思えます。

この違いはどこから生まれたのでしょうか?
経営体質やそれぞれのリーグの生い立ち・歴史等、様々な要素が絡みあっていて、もちろん一概には言えませんが、私的な意見を敢えて言わせて頂きますと、『リーグとしての「理念・ビジョン・経営戦略」の差』が一因であると思います。
(中身はもちろんですが、どのように打ち出すか、そして関係者がそれを共有しているか・・・等)

今回は、この両リーグの違いを見ながら、「理念・ビジョン・経営戦略」の一貫性と関係者・全スタッフが共有することの大切さを考えてみたいと思います。



少し概念的な話をさせていただきます。
(いろいろな考え方はありますが)一般的には

「企業」とは・・・価値を創出する仕組み
「経営戦略」とは・・・企業の持続的競争優位を確立するための基本枠組み

です。そしてそこには上から

①理念・・・創業者・社長がつくった会社の目指す姿
②ビジョン・・・理念を実現するための具体的な将来の目標(値)
③全体戦略・・・ビジョンを実現するための全体的な考え方と方法(戦略)
④部門戦略・・・全体戦略を実現するための部門毎の考え方と方法(戦略)
⑤戦術・・・部門戦略を実行する上での現場でのアクション
⑥日々のタスク・・・戦術を実行する上での日々の活動
があります。
※ ①→⑥のことをここでは「企業ロードマップ」(私がつけた造語)と名前をつけさせていただきます。

“良い企業(団体)”の定義はいろいろありますが、売上や利益の規模に関わらず、そこで働くスタッフ、お客様関係者が永続的に“良い企業(団体)”と思える企業(団体)は「企業ロードマップ」が明確で一貫性があり、そこで働く人が理解・共有し行動していることが前提としてあるように、私は思います。

※ もちろんその戦略の良し悪しもありますし、「企業ロードマップ」が整備されてなくても、売上を伸ばしている企業もあります。

震災直後の対応の差を見ると、JリーグとNPBではこの「企業ロードマップ」に対しての考え方や取組みが大きく違うように思えます。

両リーグの「企業ロードマップ」を見てましょう。


【Jリーグ】
Jリーグには「Jリーグ100年構想」があります。
Jリーグ公式サイト

この「Jリーグ100年構想」は最初に発表された時から、個人的にも非常に好感を持っていました。そしてヨーロッパなどに比べてスポーツ文化の考え方が浸透していない日本では非常に大切な指針です。
この「Jリーグ100年構想」から「企業ロードマップ」をまとめてみます。

①理念・・・「スポーツでもっと幸せな国へ」 スローガン
  ● あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。
  ● サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。
  ● 「観る」「する」「参加する」スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること。
②ビジョン・・・Jクラブ100、地域スポーツクラブ1万の実現
③全体戦略・・・
  ● 地域密着型クラブの創出(現在37クラブ)
  ● 人材育成活動(選手、審判、指導員)
  ● スポーツ振興活動(クラブでサッカー以外のスポーツを持つ、生涯スポーツ振興活動
  ● ホームタウン活動(ホームタウンの選定、地域名+愛称、地域と一緒の街づくり)
④部門戦略・・・人材育成活動について
⑤戦術
⑥日々のタスク (詳細省略)

上記の「企業ロードマップ」をJリーグ関係者は日々理解・共有・実践しているからこそ、各球団や選手の立場の違いで利害関係があっても、それを度外視して“今何をすべきか!”を考え、迅速に一丸となって行動できたと私は思います。


【NPB】
一方NPBは、オフィシャルサイトには「Jリーグ100年構想」のような理念・ビジョン等の掲載は残念ながらないようです。
(どこかに掲載されているのかもしれませんが、パッと見はわかりません・・・)

日本野球機構オフィシャルサイト
もちろん野球憲章等には、表記がされているとは思いますが、オフィシャルサイトを見ても、その考えをJリーグのように各関係者が理解・共有しているようには残念ながら思えません。
逆に言えば「Jリーグ100年構想」NPB版を打ちだしていれば、あそこまで自分たちの利害を優先した(ように見える)強硬な意見を発信し続け、開催日を二転三転と変更する混迷は起こらなかったのではないでしょうか。
NPBは過去にも、古くは“空白の一日”から“1リーグ構想”“FA・逆指名制度の導入”・・・等、ある特定球団(自分たち)の利害を考えての迷走が度々起きています。
一方Jリーグでは歴史の長さは違うとは言え、意見の対立はあってもNPBのような迷走は起こっておりません。
JリーグとNPB震災直後の対応の差は、「企業ロードマップ」の存在・浸透が全てではありませんが、大きな影響を与えたと私には思えます。

まとめますと、


★☆★ 今月の売れるためのまめヒント ★☆★

概念的ではありますが、
永続的に強い“良い企業”になるためには「企業ロードマップ」(造語)の整備と浸透が前提条件として必要。

「企業ロードマップ」

①理念・・・創業者・社長がつくった会社の目指す姿
②ビジョン・・・理念を実現するための具体的な将来の目標(値)
③全体戦略・・・ビジョンを実現するための全体的な考え方と方法(戦略)
④部門戦略・・・全体戦略を実現するための部門毎の考え方と方法(戦略)
⑤戦術・・・部門戦略を実行する上での現場でのアクション
⑥日々のタスク・・・戦術を実行する上での日々の活動

①→⑥が一貫し、かつ全社員が理解・共有し行動していることが大切。
(敬称略)



※本記事は、メールマガジン(毎月発行/無料)「売れまめ! 売れない時代に売れるためのまめヒント」21号(2011年4月発行)を加筆・編集したものです。
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(髙木)


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