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過去のマンスリー・トピックス
毎月、企業や社会の諸活動の中で気になるテーマ・話題に関するひとことエッセイや、とても有用な書籍へのひとこと書評を掲載中。 最新号、及びその他の過去のトピックスはこちらから。
◆2010/7
“AKB48は48人じゃない!?”
 ~ メンバーの流動性とAKB商法が生む巨大な売上 ~


参議院選挙も近づき熱い選挙戦が繰り広げられていますが、つい1ヶ月ほど前にも熱い総選挙が行われていましたが、皆さんご存知でしょうか?

総選挙とは「AKB48 17thシングル 選抜総選挙」(以下AKB総選挙)のことです。
AKB総選挙とはファンの投票で獲得票数上位21名が次回シングルの選抜メンバーに選ばれるというイベントです。(今回が二回目)
もちろん1位から得票数が順次出ますので、シングル選抜ではありますが、実質的には年に一度の人気投票と言えるのではないでしょうか。
今年は劇的な“政権交代”が行われました。詳しくはこちらよりご覧ください。

今回は紅白歌合戦にも出場し、あの石川遼くんもコンサートを見にいきたいと言っている、“トップアイドルグループ”AKB48のマーケティング手法について考えてみたいと思います。

まずはAKB48についての簡単なおさらいです。


●AKB48(エーケービー フォーティーエイト)は、秋元康氏の全面プロデュースにより、2005年に誕生した日本の女性アイドルグループである。
●AKBは劇場のある秋葉原の略称アキバ(Akiba)からきている。
●「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、専用劇場でほとんど毎日公演を行っている。
●メディアを通した遠い存在だったアイドルを身近に感じ、その成長していく過程をファンに見てもらい、共に成長していくアイドル・プロジェクトである。
●公演は、全てオリジナル曲で行われ、2010年5月現在、300曲を超えるオリジナル曲が発表されている。
●メンバーはオーディションで選ばれ、それぞれのチームに所属。入れ替えがあり、人数・メンバー構成は、その都度変更になる。
●現在のチーム構成と人数(5月27日時点)
 Aチーム・・・13名
 Kチーム・・・16名
 Gチーム・・・16名
 研究生・・・15名 ※正規メンバーではない。
●姉妹ユニットとしてSKE48、SDN48がある。
●SKE48は、東海地方を中心として活動している。AKB48の全国拡大版の一つで、AKB48のメンバーに入ることもあることためAKB48に含まれると考えられている。SKEは劇場のある名古屋の栄(Sakae)からきている。
●SDN48は、AKB48に入らないので、別ユニットと考えられている。SDNは公演が土曜夜(SaturDay Night)に行われることからメンバーは全て20歳以上。

ん・・・ 複雑です(苦笑)。

簡単に言うとAKB48とは固定されたメンバーがいる“アイドルグループ名”ではなく、“商品パッケージ名”で中身はその都度(母体はあるにせよ)入れ替わるということです。
例えば、同じようにオーディションからメンバーを選出し結成されている女性アイドルグループであるモーニング娘。はメンバーの入退会はあるにせよ、その時点で10人なら10人のメンバーは固定化しています。
しかし、AKB48は病欠・負傷・その他のスケジュールの問題等でイベント毎に、参加出来ないメンバーがいる時には、研究生やSKE48からメンバーを補充しています。
つまり、極端に言えば毎回メンバーは違う可能性もあるわけです。
この点(メンバーの流動性)が、秋元氏が以前にプロデュースした“おニャン子クラブ”や“モーニング娘。”とも全く違う形態のアイドル・グループだと言えます。

ではマーケティングの原則からAKB48を考えてみたいと思います。

1)「誰に、何を、どの様に売るか?」

■誰に(ターゲット)
アイドルが好きなアキバを中心に活動する人たち。
■何を(商品)
AKB48というアイドルユニットのパッケージ。
その中に多様な商品(いろいろなタイプの女の子)を用意し、自分好みのアイドルを見つけて応援してもらう。
■どの様に売るか?(基本方針=コンセプト)
「会いに行けるアイドル」
“身近に感じ、成長していく過程をファンに見てもらう”ことにお金を使ってもらう。

大切なの需要があるか(ターゲットがいるか)の見極めとそのターゲットの特徴に合わせた商品と売り方を考えることです。

需要という点では、モーニング娘。のコアなファンやアキバ系、アイドルのマニアックな人気などもあり、一定数以上は存在していると考えられます。
そしてそのターゲットの特徴としては、(全ての人ではありませんが)
1.マニア的な思考と
2.独特の女性(アイドル)観を
持っていると考えられます。

1.マニア的な思考とは(高木の私見ですが)
「自分だけが知っていることに優越感を持つ」
「成長を見守る(応援する)ことに喜びを感じる」
「希少価値のあるものを欲しがる、シリーズものを揃えたくなる」
などです。
(これはアイドルだけでなく“韓流スター”“スポーツ選手”“ロックグループ”などのマニアックなファンも基本的な思考は同じだと思います。)

2.独特の女性(アイドル)観
ここでは多くを語りませんが、メイドさんのようなかわいらしい容姿ややさしい言葉づかい・・等。

この特徴に、秋元氏の成功体験(おニャン子クラブ)を加味して需要のあるターゲットに、しっかりと響くコンセプトを決め、ターゲットの“好みの子が必ずいそうな”多様な商品ラインナップを揃えることが、人気の基盤となっています。

次に上記のコンセプトを、実際に売上増にどう展開しているかを見てみましょう。

2)売上=客数×客単価
売上はあげるためには、大きな視点で考えると、“客数を増やすか”“客単価を増やすか”の二つしかありません。
AKB48は“身近に感じ、成長していく過程をファンに見てもらう”このコンセプトをユニークでしっかりとした施策として展開しています。

■客数、つまりファンを増やすための施策。
AKB48の特徴は
●メンバーの多様性
●メンバーの人数が多い
●メンバーが固定していない、流動性がある
です。

その特徴をいかし、
●グループをチーム(1チーム12名程)に分けて、日本全国を営業活動(ミニライブ&握手会等)で巡回
●タイアップ・イベント・メディアへの高い頻度での露出
などを行っています。

これはモーニング娘。を例に取ってみるとAKB48の強みがはっきりとわかります。
モーニング娘。は10人なら10人そろってモーニング娘。です。
バラバラにまわることも可能ですが、基本はグループでの活動を強いられます。
おのずと、出来る数に限界があります。
しかしAKB48は、核となるメンバーはもちろんいますが、正規メンバーはもちろん、研究生やSKE48、誰が出てきてもAKB48と名乗ればAKB48になってしまいます。
(これがAKB48の特徴)

つまり総勢102名の中で、スケジュール調整をして、イベントに合ったメンバーを選出して送り込むことが出来るのです。
もちろんその分数もこなすことが出来、それだけ新規ファンを取り込むチャンスも増えます。現実にチームによる全国巡回で、AKB48はファン数を急増させました。

■客単価を増やすための施策。
客単価を増やすためには、
“一品の単価を高くする方法”
“商品点数(種類)をたくさん買ってもらう”
方法があります。
もちろん上記のための方法もいろいろと実施はしていると思いますが、AKB48の主な施策は違います。

“1人のファンに同じ商品を複数買ってもらう”
つまり1人に同じCDやDVDを何枚も買ってもらうようにしているのです。(俗に言う「AKB商法」です。)

CDが売れないと言われている時代に、一人に同じCDを複数回もどうやって買ってもらっているのでしょうか?
その仕組みの一つが冒頭に出てきた「総選挙」です。

「総選挙」への投票権はCDを1枚購入すると1票ついてきます。(それ以外に特別会員等にもあります。)
つまりCDを買えば、同じ人が自分の投票したい子に何票でも投票することが出来るのです。
AKB48のファンは“ターゲット選定”のところでも触れたように、自分のお気に入りの子の成長を応援することに楽しみを見出しています。
選挙速報や中間発表などが出ますので、自分のお気に入りの子の順位・票数ももちろんわかります。
(ファン心理を考えれば・・・)
「自分がCDを買って投票すれば、○○ちゃんが喜んでくれる!」
そう思い、せっせと同じCDを買ってしまう訳です。
(私なら○○ちゃんも喜ぶでしょうが、レコード会社やプロダクション関係者がもっと喜ぶと思ってしまいますが、ファンは純粋です。)

総選挙以外にも、握手会や生写真撮影会、ハグ会等・・・のチケットがCDやDVDの特典についてきます。
「○○ちゃんと何回も握手をしたい!」
「何回も会えば顔を憶えてもらえるかも!!」
等のファン心理を刺激することにより、この特典チケットを目的に同じCDやDVDを複数回購入してもらうことが出来ます。

AKB48のメンバー個々の才能や努力はもちろんですが、
ターゲットの特性に合わせたに多様な商品を揃え、コンセプトを展開するマーケティング戦略を実施したによりAKB48は日本を代表するアイドルグループに成長をすることが出来たのではないでしょうか。

まとめますと、


マーケティングの原則を再確認してみよう。

1)「誰に、何を、どの様に売るか?」
■商品の売上が見込める需要、一定のターゲットは存在するか?
■ターゲットの特性に商品・コンセプトは合っているか?

2)売上=客数×客単価
■既存の概念・枠組みに捉われない思考で今一度考える。
■同じ商品を一人に複数回買ってもらうための施策はあるか?


参考:
AKB48公式サイト(http://www.akb48.co.jp/)
Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/AKB48)

上記以外にも、AKB48では「同じタイトルの複数回使用」「販売店毎の特典」「複数メディアによるランダムな生写真プレゼント」等マニア心?をくすぐる(希少性の商品を手に入れたい、全種類揃えたい、自分のお気に入りの子の関連商品を手に入れたい等)仕掛け・施策を実施しています。

私たちダイナアーツでも、“ターゲット・コンセプトの見直し”“コンセプトに基づくマーケティング戦略づくり”“お客様に響く効果的でユニークな仕掛けづくり”のお手伝いをさせていただき、多数の成功事例をうみだしています。
マーケティングやプロモーションに関するお悩みなどがありましたら、まずはご相談ください。



※本記事は、メールマガジン(毎月発行/無料)「売れまめ! 売れない時代に売れるためのまめヒント」12号を加筆・編集したものです。
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(髙木)


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