DYNAARTSLOGO
ミッション サービス内容と実績 企業概要 採用情報 Top Page
過去のマンスリー・トピックス
毎月、企業や社会の諸活動の中で気になるテーマ・話題に関するひとことエッセイや、とても有用な書籍へのひとこと書評を掲載中。 最新号、及びその他の過去のトピックスはこちらから。
◆2010/4 
「開放系」と「閉鎖系」 ~これからの時代にわたしたちが確立していきたい社会とは!?


近年まれに見る変化の年となった2009年度も終わり、2010年度がはじまりました。
皆さんは、どんなお気持ち、心中で、また、どんな期待感、どんな決意をもって新年度を迎えられたのでしょうか?
ダイナアーツでは、仕事柄、年度下半期から年度末・・・は、得意先企業様において、当該年度の計画に対していかに実績を近づけていくかという現場・最前線へのご支援と、翌年度の事業計画策定へのご支援という大きく2つのミッションが併行し、例年“繁忙”のピークを迎えます。
とりわけ2009年度においては、迎えた2010年という本年が、21世紀の最初の10年を総括し、次の新たな10年をどう見すえるかという、いわばターニング・ポイントとみなされることから、上記2つのミッションに加えて、新たな中期(3ヵ年)を展望し、自らの取り組みを組み直す、すなわち、新中期経営計画策定へのお取り組みを、いくつかのお得意先においてご支援させていただいています。 (よって・・・目が回るほどの忙しさの中で年度変わりを迎えております!)


寒さもようやく一段落した4月某日の夕方。
弊社オフィスのベランダから臨む桜・・・
(向こう側は国立能楽堂事務所)

さて、(いきなり話題は変わりますが)今年1月から始まった大河ドラマの影響大なのでしょうが、昨今、幕末の志士「坂本龍馬」が大ブームだそうです。
坂本龍馬がなぜそんなに人を魅了するのか・・・については、このブームに次々と刊行される書籍をはじめ、ネット情報やその中での特集に譲りますが、彼が駆け抜けた幕末という時代・・・それまで200有余年にわたって“閉じてきた”日本という国が、ある時期を境に頻繁化した他国の渡来と要求によって、急速に国を“開く”ことへの不安と葛藤に直面していった時代です。
その混乱の様は、「開国派」と「攘夷派」というような短絡的な二分説では決してなかったことは自明です。開国派にせよ、攘夷派にせよ、それまで長きにわたって“閉ざされた国家”の体制の中で営まれてきた自分たちの社会のありように大なり小なりの疑問を持つようになり、その後の時代に対する不透明感に対して、それぞれがそれぞれの価値観、世界観の中で活路を見出そうと動き出した時代であるように思います。

物理学の系統である熱力学の世界において、「開放系」と「閉鎖系」という概念があります。
「開放系」とは、「外界とエネルギーおよび物質の交換をする系。生体はその例。開いた系。」 
一方、「閉鎖系」とは、「外界とエネルギーおよび物質の交換をしない系。閉じた系。孤立系。」
と説明されているものです。
この概念・・・エントロピー、物理学、熱力学といった世界の言葉を超えて、昨今、面白い拡大使用が散見されるようになりました。
その代表的な例ですが・・・:
「開放系」とは、人間活動に比べスペースがきわめて広い上に移動の自由があり、資源が豊かで、異なる文化的背景をもつ人間との接触が多い「場」。歴史的には17、18世紀の新大陸が該当します。
これに対し、空間が狭く、資源が少なく、移動が制限され、異文化的人間との交流が少ない場は「閉鎖系」と解釈できる・・・
というものです。
開放系は、あからさまな競争を通じた生存が可能で、敗者は「ニューフロンティア」に転進する自由があり、自立自尊(autonomy)、欲望追求と移住の自由を尊重する倫理的方向性が顕著になると付け加えられています。
実際、かつてのアメリカでは、個人の利己的欲望追求努力の「総和」がそのまま社会の利益であると理解されてきた系譜があります。アメリカン・ドリームとはそのような倫理意識の延長にあり、現在でも大多数のアメリカ人は自国の伝統的倫理に強い自信を抱いています。
一方、閉鎖系では、狭く貧しい場で、大殺戮に至るような争いを未然に避けるためには「協調」が生存目的に適うとされています。当然、自分の欲望を抑え、他者との間柄を配慮する倫理的方向性が強い社会、そしてその社会の倫理です。

これら2つの価値観に生じるであろう心理的な事象を少し掘り下げてみると、開放系では、競争を通じた生存を強いられるため、「自我拡張的意識」、すなわち、自分の能力を過大視する心理が形成されます。その自我拡張的意識の維持には、他者からの絶えざる賞賛と優越性の確認が必要です。 実際、アメリカでは初等教育から一貫して、「欠点」を正すのではなく「長所」をほめる・・・といった個人の自我意識高揚を目指した教育が行われていることにその証左があるのではないでしょうか。
対照的に閉鎖系では、謙遜や自責などの「自我縮小的心理」が、集団の和を保つ上で重要な価値観となっています。 もう少し掘り下げるならば、他者を押しのけて自分が一人勝ちするのではなく、他者と協調して生かし生かされる生き方を追求する・・・と考えられるものです。 したがって、たとえば「自己実現」という多くの人々が目的としているであろう事柄を例にとって考えてみると、開放系では自己の才能や欲望の具現化がその同義とみなされますが、閉鎖系では他者から期待された自分の役割を良く果たし、他者からの賞賛と同時に人間関係をさらに良好にすることが重視されます。
前述の“坂本龍馬が駆け抜けた幕末の日本”は、そういった意味で、「閉鎖系倫理」と「開放系倫理」の狭間において、当時の社会に暮らす日本人皆が揺り動かされていた時代ではないかと考えます。
「開放系」と「閉鎖系」・・・私は、このどちらが良くてどちらが悪い、といった短絡的な結論を出すつもりは毛頭ありません。
「開放系倫理」の普遍化によって、今日、科学技術の発展により世界が一つに結ばれましたが、反面、もはや新たに開拓すべきフロンティアはほとんど見出せなくなりました。 そして、エネルギー・物資の大量使用によって資源の限界が見えてきた現在、溢れ出ずる情報を通して見えてくる国際情勢、そして、グローバル・プレイヤーとして世界各国を舞台に取り組まれる企業を考えるとき、一つにつながった人類、国家、そして、企業は、実は「閉鎖系」の世界で自らを高揚させていきたいと念じているように思えてなりません。

企業経営、企業活動には、この「開放系倫理」と「閉鎖系倫理」という、いわば“二律相反”の価値観を同時保有している様があると思います。 開放系倫理の追及がもたらす成果と、閉鎖系倫理の時代の中での置き換えによって得られる秩序と組織力・・・。
私たちダイナアーツがご支援するお客様の成長戦略とその実現、また、そのために求められるイノベーション・マネジメントの推進・・・、そのご支援の現場、最前線はもとより、それをリードされるトップ・マネジメントの方々が抱かれる葛藤の実際には、この“二律相反”が必ず見受けられます。苦悩を苦悩として共有・共感(響感)させていただきながら、次代への一歩を共創(響創)するために・・・。
創業16年、のべ160社のお客様との300有余のプロジェクトワーク・そのご支援の機会を賜ってまいりましたダイナアーツは、2010年度も、皆様のお困りの実際をしっかりと受け止めさせていただくことをスタートとして、求める成果獲得への協働(響動)に努めさせていただいてまいります。今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
(加藤)


プライバシーポリシー Copyright reserved by Dynaarts Interdevelopment Ltd. 2007  サイトマップ  お問い合わせ