◆2009/11
“ロッテリアの「返金キャンペーン」への対抗策!?” ~マクドナルドの「コーヒー無料キャンペーン」の目的~
マクドナルドの『プレミアムローストコーヒー』を飲んだことは皆さんありますか?
(私見ながら)以前のマクドナルドのコーヒーは、いかにもファストフードのコーヒーでお世辞にも美味しいとは言えませんでしたが、『プレミアムローストコーヒー』は、十分満足できる美味しさなのではないでしょうか。
実際に「2008年 買いたいコーヒーランキング」ではファストフード店だけでなく、ドトールやスターバックスなどのカフェ専門チェーンをも押さえて、見事第1位に選ばれました。
●買いたいコーヒーNo.1はどこ?(オリコン顧客満足度調査)
そんな好評の『プレミアムローストコーヒー』を時間帯・地域限定で無料で提供するキャンペーンが行われました。ではこのキャンペーンのマクドナルドの狙いはどこにあったのかを今回は考えてみたいと思います。
ハンバーガー市場ではマクドナルドのライバルと言われているロッテリアが最近は元気がいいです。「絶品チーズバーガー」を始め、ユニークな商品開発やキャンペーンを行って話題を集めています。そんな中、今年の7月15日には自信作の「絶妙ハンバーガー」の発売と同時に「食べてまずければ全額返金キャンペーン」を行い話題になりました。
●「全額返金キャンペーン」記事
これに対抗するかのように7月末からマクドナルドも「無料コーヒーキャンペーン」を始めました。このことから「ハンバーガー戦争」のように捉える向きもありましたが、「ロッテリアに負けられない!」そんな思いでマクドナルドがキャンペーンを始めたのでしょうか?
ハンバーガー市場を見てみると・・・ (図1参照)
売上規模でマクドナルドはロッテリアの14.4倍。マクドナルドとロッテリアはライバルというイメージ以上に売上規模が離れていることがわかります。
マーケティングで市場占有の目標値として使われる「クープマンの目標値」に両社を置き換えてみると、
●クープマン目標値とは
・マクドナルド →「独占的寡占型」
首位が絶対安全かつ優位独占の状態。
・ロッテリア →「市場存在シェア」
生活者において、助成想起が可能なレベル。
市場において、ようやく存在が許されるレベル。
個店レベルの局地戦はともかく、マクドナルドがロッテリアを意識して戦争を仕掛ける必要がないことがわかります。ではマクドナルドの今回のキャンペーンの目的はどんなところにあるのでしょうか?
主な狙いは、
1.新規顧客&離反客の呼び戻し
2.朝食市場の開拓
3.プレミアムコーヒーのトライアル
4.話題性(広告宣伝)
5.ついで買いによる売上アップ
この5点ではないでしょうか。
1.新規顧客&離反客の呼び戻し
ハンバーガー市場のガリバー、マクドナルドですが、全てのお客さんを取り込んでいる訳ではありません。このような考えがありました。
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日本マクドナルドのマーケティング担当者によると、無料コーヒーキャンペーンは「2004年から着手した全社改革の集大成」の1つだった。
それ以前の同社は価格競争を徹底しすぎて、「安かろう、悪かろう」の印象が定着。
飲食をする場所の選択肢に入れない人が増えていた。そこで店舗と接客と商品のすべてを段階的に改善し続けた。こうしてトータルの店舗体験に価値を感じてもらえると判断できるレベルに達したので、今回のキャンペーンを仕掛けた。
マクドナルドに馴染みのない人や足が遠のいていた人の来店を促して、改善された“店舗”を体感してもらい、「また来たい」と思わせようとしたのだ。
(日経情報ストラテジーより参照)
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昔(2004年以前)のマクドナルドは、なるほど安いという印象はありましたが、店内もごちゃごちゃしていて、あまり居心地の良い印象はありませんでしたね。そんな時に離れていってしまったお客様にまた来てもらうため、まだ来てもらったことのないお客様の来店への“きっかけ”になるように、今回のキャンペーンを仕掛けたのですね。
2.朝食市場の開拓
マクドナルドの競合はどこになるでしょうか?上記の通り、ハンバーガー市場では敵がいない状況です。しかし、お客様視点で考えてみて、「朝ごはんを食べる」というニーズに対してみると、ハンバーガーだけでなく、牛丼屋もファミリーレストランも入ります。
また、「目を覚ますためにコーヒーを飲む」というニーズになるとカフェも競合ということになります。おそらく時間帯別に見た時に、集客の弱い午前8~9時(その後追加して行われた、午後6~7時)に対して、マクドナルドに足を運ばせるため、
「朝ごはんにマックもありかな」
「スタバじゃなくてマックのコーヒーでもOK」
とお客様に認識し、今後想起してもらうための仕掛けだと考えられます。
顧客のニーズを起点として、競合を設定し、対策を練ることはとても重要です。
そう言った意味でいけば、今後は夜に、居酒屋などに対抗するために、お酒の販売などもマクドナルドで行われる可能性もありますね。
(※既にファーストキッチンでは限定店舗ながら酒類の販売を始めています。)
3.プレミアムコーヒーのトライアル
飲みたいコーヒー第1位になるほどの評価を得ているプレミアムコーヒーですが、
「ファーストフードのコーヒーなんて・・・」
「コーヒーはスタバやタリーズでないと」
と思っている人もいるでしょう。
そんなお客様に、“まずは試しに飲んでみてください”とトライアルさせる効果もあります。
自信作のコーヒーは、“飲んでくれれば、またリピートしてくれるはず”そう考えているはずです。
そして、広い意味で考えてみるとマクドナルドはハンバーガー市場だけでなくカフェ市場へも本格的に参入したいと考えていると私は思います。
既に“マックカフェ”を展開していますが、思ったような成功をしているとは言えない状況です。マクドナルドはコーヒーも美味しいということを本キャンペーンで知らしめる(実感する)ことにより、“マックカフェへの側面支援”や“将来的なカフェ市場の地ならし”といった意味合いもあるのではないでしょうか。
4.話題性(広告宣伝)
5.ついで買いによる売上アップ
“無料”のインパクトはやはり大きいですね。では今回のキャンペーンを実施するのにどれくらいかかったかをコーヒーの原価だけですが、考えてみたいと思います。
喫茶店で出すようなホットコーヒー一杯の原価は通常約30円、その他砂糖やミルクなどもろもろを入れても約35円と言われています。
また当初の関東で行われた期間限定キャンペーンの「100万杯を無料に」というキャッチフレーズをもとにもの凄く単純に考えてみると
35円×100万杯=3,500万円
を提供したことになります。
マクドナルドほどの企業の広告宣伝費として考えてみれば、さほど大きな金額でなく、大きなインパクトと話題性を十分に上げたキャンペーンと言えるのではないでしょうか。
(※もちろん実際はそれ以外の費用も発生しています。)
そして、無料だからといって、コーヒーだけを飲むというお客様ばかりではなく、一緒にハンバーガーやポテトなどを“ついで買い”をする人も数多くいます。
この“ついで買い”により、結局キャンペーン収支は黒字になりました。
つまり大きなインパクトの広告宣伝をした上に儲かるという、言わば“笑いの止まらない結果”を手に入れることが出来たのです。
これなら、次々と各地でキャンペーンを実施することも理解できますね。
まとめますと、
マクドナルドの「コーヒー無料キャンペーン」の目的
1.新規顧客&離反客の呼び戻し
2.朝食市場の開拓
3.プレミアムコーヒーのトライアル
4.話題性(広告宣伝)
5.ついで買いによる売上アップ
■売上という大きな物差しだけでなく、地域、時間帯、顧客別等細分化して、問題を考えるようにしよう。
■(細分化した)その戦場でのお客様のニーズを捉え、競合を見極めて、対策を立てよう。
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参考文献:「日経情報ストラテジー」
文中にも書いていますが、昔はマクドナルドのコーヒーは正直美味しくなかったですよね。
煮詰まっているようなものが、平気で出てきていることもありました。しかし、今の「プレミアムローストコーヒー」は本当に美味しくなりました。価格を考えれば十分な品質だと思います。
私もドライブ中にマクドナルドがあるとついついドライブスルーで買ってしまいます。飲んだことのない人は是非試してみてください!
モノが売れない時代、「とにかく安く」「無料のおまけをつける」だけのキャンペーンや販促策では、十分な効果も期待できません。
限られた予算の中で、ねらい、ターゲット、具体的な施策、効果の検証などをしっかりと設計する必要があります。
私達ダイナアーツでは、確かな実効性がある実行力の高いプログラム設計を支援しています。
上記の課題を抱えている皆様、是非一度私達ダイナアーツへご相談ください。
美味しくなったマックのコーヒーを飲みながら、語り合いましょう。
※本記事は、メールマガジン(毎月発行/無料)「売れまめ! 売れない時代に売れるためのまめヒント」4号を編集したものです。
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(髙木)
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