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過去のマンスリー・トピックス
毎月、企業や社会の諸活動の中で気になるテーマ・話題に関するひとことエッセイや、とても有用な書籍へのひとこと書評を掲載中。 最新号、及びその他の過去のトピックスはこちらから。
◆2007/7 
行列の出来るドーナツ屋「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の巧みなマーケティング戦略
〜人はなぜドーナツを買うのに1時間も並ぶのか〜



日本人のドーナツに対する観念を変えてしまう程のインパクトを与え、未だに1時間待ちは当たり前の驚異の人気を誇る「クリスピー・クリーム・ドーナツ」(以下KKD)。もう皆さんは召し上がりましたか?
私も一度だけ食べたことがありますが、確かに日本に今まであった既存の ドーナツと違うサクッとした食感や甘過ぎない味付けは美味しくてまた食べてみたいと思わせるものでした。
しかし美味しいだけでKKDはこんなにも人気なのでしょうか?
それは違います。もちろん美味しいことは重要な要素の一つですが、それ以外にも1時間も人を並ばせるための戦略がKKDにはあるのです。

ここで簡単に「クリスピー・クリーム・ドーナツ」のおさらいを・・・
●1937年米国で創業した老舗のドーナツチェーン。現在は世界10カ国約400店舗を展開。
●米国ではNY証券取引所に上場。コーヒーのスターバックス、ドーナツのクリスピー・ドーナツと並んで称されるほどの成功企業と言われている。
●日本では昨年(平成18年)の12月15日に1号店新宿サザンテラス店がオープン。今後国内では5年間で30〜50店舗の出店を計画中。
(クリスピー・クリーム・ドーナツHP<http://www.krispykreme.jp/>などより抜粋)

それではKKDはどのような取り組みを行ったのでしょう。
「ドーナツドロップ」・・・KKDが新規出店の前に必ず行う施策。日本では新宿店がオープンする10日ほど前、店舗周辺の東日本旅客鉄道本社ビルや小田急サザンタワーなど主要なオフィスビルや新宿路上でドーナツを配った。その数1週間で7,000ダース。 これを食べた数万人の人の口コミが新宿店の空前のブームを作り出した。
「ドーナツシアター」・・・店舗1Fのキッチンをガラス張りにしドーナツの製造過程を間近で見ることができる。手づくり感や出来立て感、KKDの期待値を高める。
「試食サンプル」・・・試食といっても、爪楊枝でドーナツのカケラを食べるレベルではなく、まるまるドーナツ1個を配っている。KKDはその場の食事だけでなくお土産・ノベルティーとしての大量購入を狙っている。
「オリジナル商品の発売」・・・キャップ、マグカップ、Tシャツなどを店頭で販売。スターバックスを手本にしているといわれている。
TVCMをしない・・・地域密着のマーケティングを展開。
ドーナツ一筋・・・競合のダンキンドーナツはベーグルなどのドーナツ以外の商品も扱っているが、KKDはドーナツ一筋。

また本場米国では次のような地域密着の取り組みも行っています。
「ファンド・レージング」・・・チャリティー活動やボーイスカウト、学校のクラブ活動などで運営の寄付金を募る際に、「ファンド・レージング」と呼ばれる外部からの資金調達を米国では行う。 (例えば日本では盛んな幼稚園のバザーなどがそれに当たると考えて良さそう)KKDもこのような運営費調達に協力するべく、ドーナツを提供し売上げの50%を寄付。
学校教育の応援・・・通信簿をKKDに持ってくると、成績がA(アメリカ式5段階評価で一番上の成績)の学科ひとつにつき、ドーナツひとつをプレゼント。

主なものだけでもこのような取り組みをKKDは行っています。
つまり美味しいドーナツ(いい商品)というだけで勝手に売れ行列が出来たのではなく、美味しいことを伝えるためにさまざまな方法や演出を駆使し、いい商品にさらに付加価値を加えることにより、結果お客さんを1時間も並ばせることに成功したのです。

KKDほどの規模ではなくとも、いい商品を伝える取り組みは街中に氾濫しています。
例えば身近なところで言うと、私の近所に人気のたい焼屋さんがあります。
このお店はどのような取り組みを行っているかというと、無料の試食を行っているのです。なんかどっかで聞いたことある話だなと思うかもしれませんが、当然KKDと街のたい焼屋さんでは資本力も違いますからたい焼をまるまる一個あげているわけではありません。
では何をかというと、たい焼きを作る時の外枠の部分(たいの部分以外)を試食として店頭に置いているのです。外枠の部分ですからおそらく通常は廃棄するようなものでコストは実質かかりません。そしてその効果はと言うと、まずその試食を食べに子供達が寄ってきます。 子供達はそんなにお金を持っているわけでもないので、ただであんこは入ってないとはいえ、たい焼きの皮の部分を食べれるので喜んで寄って来ます。(もちろん味も美味しいです)次にその光景を見た大人が、そんなに人が集まるたい焼き屋ならきっとうまいだろうと考え並び始めます。 そう、後はKKDと同じで行列が行列を呼ぶ現象になるわけです。本来は捨てるような「たい焼きの外枠」であっても考え方一つで、行列を作る取り組みに変えることが出来るのです。

ではあなたの仕事の「たい焼きの外枠」はなんでしょうか?
私達ダイナアーツでは教科書的な一般論とはまったく違う、お客様固有の強みを最大発揮しうる「たい焼きの外枠」(もちろん“あん”づくりも・・・ですが)をつくる、そんなお手伝いをさせていただいております。
(高木)


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