◆2009/10
“マドラーで縦に1回だけ混ぜること” ~ウイスキー復権への立役者「ハイボール」~
「ウイスキーはお好きでしょ~♪」という歌声をバックに女優の小雪さんが、“角ハイボール”を作っているCMを見る機会が少し前から増えてきていませんか?我が家でも、このCMに乗せられて(笑)、サントリーの角瓶と炭酸水を買ってハイボールを家で楽しむようになりました。
そして私だけでなく、ちょっと前までは「おじさんの飲み物」と敬遠されていたウイスキーが、最近はハイボールを通じて、若い人にも人気のようです。
今回はこのハイボール人気について、考えてみたいと思います。
まずはハイボール人気の経緯を検証してみましょう。
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【以前のウイスキー市場】
●ウイスキーは長期(約25年)のダウントレード状態。
※ウイスキー消費量の推移(単位:千キロリットル)
1983年(ピーク時) 379
2005年 75(▲80%)
「おじさんの飲み物」「飲み方がわからない」ウイスキーは若い世代を中心に売上が落ちていた・・・
【模索期】
どのようにウイスキーの魅力を伝えるかを模索中・・・
●2008年春:ブロガーの集まるイベント
シングルモルト「山崎」に対して、「濃くて飲めない」という声が多かったため、別に用意していた「白州」を水割りで出して好評を得る。
→「ウイスキーを割ると何かが変わるのかな」という気づきを得る。
●一ヵ月後:ブロガー向けのウイスキー蒸留所見学ツアー
「すごいハイボール」という名前で、おいしいハイボールの作り方を紹介。参加ブロガーの反響が大きく、さまざまなブログで取り上げてもらう。
【黎明期】
ハイボールは売れるという確信を得る!
●2008年5月28日:「ハイボールナイト」
蒸留所見学ツアー参加者からブロガー発のハイボールイベント開催の要望に応えた企画。
参加者28名にブログ上に記事を書いてもらうとともに、動画を「YouTube」に16件投稿してもらう。
※再生回数:08年12月末で3万8千回 → 09年8月には15万6千回。
今年に入ってから明らかに再生回数が伸びている。
●手ごたえを感じ始め、「ハイボールの記事」の掲載量アップを目指す。公式ブログにハイボールの記事を書き続ける。
※後にハイボールがTV等で取り上げられる機会が増えた時に、このブログ、動画情報の蓄積が、気になったお客さんを逃さない要因となる。

【拡販期】
さまざまな施策を実施し、ハイボール人気を広める。
●2008年10月:ブログイベント「MIRAI:ネットとガジェットの融合」
ハイボールを作るための機材「角ハイボールタワー」を会場に持ち込み、200杯の試飲分を用意するもあっという間に空となり、急遽人の手で作ったほどの人気に。
※「角ハイボールタワー」取り扱い店舗2008年夏導入時に270店舗。
「角ハイボール」取り扱い店舗
2008年末 → 1万5千店
2009年6月 → 3万2千店に拡大(年内4万店を目指す。)
●「ハイボールナイト2」開催。
●蒸留所見学ツアーで「シングルモルト・ハイボール講座」を開催。
●2008年秋:“ネットの反響”“角ハイボールタワーの商談好調”などを受け、ハイボールを全面に出した広告展開を本格始動。
●08年夏頃から新聞で、08年終わり頃からTV・雑誌等でハイボールが取り上げられる機会が連鎖的に増加。
●09年夏~秋:日本各地でハイボールイベントを開催。青森では500人規模の大盛況イベントも行われ、各地でハイボールの話題が上がっていく状態作りを目指す。
●ウイスキー11年ぶり増産。
●「角瓶」販売数量、09年1~4月期 13%増(対前年比)。
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ブロガーなどのネット上の口コミから、大きな流れにつながっていることがわかりますが、私はこのハイボールが人気になったのは二つの成功要因があると思います。
1.ウイスキー初心者向けへ用途(飲み方)提案をした
誤解を恐れずに言えば、ウイスキーの本当の魅力をハイボールだけで理解していただくことはできません。できれば美味しいシングルモルトウイスキーを、そのまま割らずに(ストレートやロックなどで)味わっていただきたいと、担当者も考えていたはずです。
(今もそう思っているかもしれません。)
しかしそれでは、ウイスキーを飲む習慣がない20代、30代にはあまりにも敷居が高すます。そこで考えたのが、
「飲み方がわからなければ教えてあげよう!」
「飲みづらければ飲み易い飲み方でどうぞ!」
敷居を低くして、まずはウイスキーを飲んで楽しんでもらうことに力を注ぎました。
これはもちろん若い世代だけではなく、私のように、ウイスキーから離れていってしまったおじさん世代を呼び戻す“きっかけ”にもなっています。
そして今後は、このハイボールを入口として、ウイスキーに目覚めた人が、さまざまなウイスキーの本来の魅力を楽しんでいただき、ウイスキーファンになっていって欲しいと願っているはずです。
“初心者向けに敷居を低くする”
“使い方を教えてあげる”
このことは今回のウイスキーだけの話ではありません。
市場が縮小している商品やサービスを中心として、お客様に入口を入り易くするための施策はいろいろな商品やサービスで考えられています。
例えば・・・
●操作が複雑で高スペックになり過ぎたゲームに対して、誰でも簡単に操作ができるゲーム機を低価格で提供した
「Wii」。(初心者向け商品開発)
●食品メーカーが主催している料理教室、HPで紹介しているレシピ、釣具メーカー主催の初心者向け釣り教室など。
(用途提案/使い方を教えてあげる。)
などがあげられます。
「ウイスキーなんておじさんのお酒」と思っていたウイスキー初心者に、敷居を低くした入口戦略として、飲みやすいウイスキー飲み方を教えてあげたことが、成功の第一の鍵だと私は思います。
2.関与者への全方位マーケティングの実現
成功の第二の鍵として、ハイボールの人気を高めるために、サントリーは関与者に対してもれのないマーケティング活動を行いました。
ここでの関与者は、
●メーカー(サントリー)
●流通(販売店)
●飲食店
●消費者
●そして影響者(ブロガー)
です。
※今回は触れていませんが、他に卸や販社、代理店などが加わるケースがあります。
有効なマーケティングとは、この関与者を結ぶ線それぞれに対して、効果的な施策が打ち出されている状態を指します。
今回のハイボールのケースを見てみましょう。(※図1参照:クリックすると別ウィンドウで拡大版が見られます。)
ハイボールを核としたサントリー「角瓶」は、各関与者それぞれに対して効果的で、連動する施策を実践していることは上記で十分おわかりいただけたかと思います。
これが成功の第二の鍵です。
まとめますと、
ハイボール人気を作り上げ、ウイスキーを11年ぶりに増産に導いたキーポイントは
■マニア向けだけでなく、敷居を下げ、初心者にも入りやすい用途提案(商品開発)を考える。
「飲み方がわからなければ教えてあげよう!」
「飲みづらければ飲み易い飲み方でどうぞ!」
■消費者だけでなく関与者全員に対して、点ではなく、線となるように、効果的で連動するマーケティング活動を考え実践する。
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「マドラーで縦に1回だけ混ぜること」、ハイボールという名前は昔から知っていましたが、詳しい作り方は知りませんでした。
今あらためて飲んでみると、炭酸が効いている爽やかな飲み心地がたまらなく、くせになってしまいます。
そして味と共に感じたのが、「ウイスキーはコストパフォーマンスがいい!」ということです。 1本1,200円前後の“角瓶”は、毎日のように飲んでもなかなか減りません。(ちょびちょび飲んでいるからですが)
このことも我が家では、ウイスキーを飲む大きな理由になっています。(苦笑)
また、ウイスキーの飲み方は他にも、おなじみのストレートやオン・ザ・ロック以外にも、トゥワイス・アップ、ウイスキーフロート、ウイスキートディなど、いろいろな飲み方があるんですね。(知っていました?)
近いうちに、これらの飲み方も流行るかもしれませんね。
いろいろな飲み方が楽しめるし、何よりコスパがいい!!ウイスキーブームは、これからも続くのではないでしょうか?
商品が知らず知らずのうちに敷居が高くなってしまい、初心者には入りづらくなることは往々にしてあります。 メーカーはお客様の要望に応えようと高品質を追求していきます。
その追求が突き進んで、ふと振り返ってみると、強烈なファン、マニア、おたくの人々しかついて来てない・・・
これでは、よほどマニア向けのニッチな商品でない限り困りますよね。
“このバランスをどう取るか”
“初心者をどのように取り込み次世代のファンにしていくか”
“点ではなく線としてマーケティングをどのように展開していくか”
我々ダイナーツは日々このような問題に取り組んでいます。
「市場が衰退してきている・・・」
「新しい顧客が入ってこない・・・」
「効果的なマーケティング施策がうてていない・・・」
このようなお悩みを抱えている皆様、一度私達ダイナアーツへご相談ください。
一緒に問題を解決して、美味しいハイボールで乾杯しましょう!
参考文献:「日経ネットマーケティング」
(髙木)
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