◆2008/7
‘置き忘れられるビニール傘’から考えるわたしたちのエコ意識
本格的な梅雨の時候、傘が一年中で一番使われる季節真っ只中です。
ネット調査(回答者4,875人)(注1)によりますと、“傘を置き忘れたり、失くしたりした経験”があると回答した人は全体の6割、“傘をよく置き忘れる・失くす場所”の第1位は「電車」、続いて、店・飲食店、会社・職場、居酒屋、バスなど・・・となっています。そして、“不意の雨で傘を買ったこと”がある人は7割という結果でした。
安価で、急な雨の日や、うっかり忘れた日も、駅の売店やコンビニで手軽に購入できる利便性・手軽さ、そして透明で、雨の中で差しても、周りの状況が確認できるといった、いわば安全性などの理由から、ビニール傘は多くの人たちに愛用されています。
このとても便利で手軽なビニール傘。しかし、雨の後、コンビニの店頭の傘立てに、放置されたビニール傘をよく見かけます。捨てられたのか、忘れられたのか、よくわかりませんが、さびしく置かれたままになっています。安価なものですので、捨てても、置き忘れても、惜しくはないという意識が働いているのかもしれませんね。
放棄されたビニール傘・・・その行方についてちょっと調べてみました。すると・・・いちいち一本ずつ分解・分別できないため、ほとんどがそのままのカタチで埋め立てられるなどの方法で廃棄されており、実は、環境にかなりの負荷をかけてしまっているということがわかりました。
ご存知のように、わたしたちの周りでは、こうした環境問題・・・ちょっとしたことから解決していこうという動きが広がっています。ローソンは今年5月27日、これまで関東地区だけで販売していた「焼却しても有毒ガスを発生しないポリエチレンを使用しているビニール傘」、全国8,405の店舗での発売を開始しました(注2)。 このほかにも、「環境に配慮した、使い捨てではないビニール傘」が発売されています。名前は「エバーイオン」。特殊な樹脂を使っているので折れにくく、さびない傘です(注3)。
また、回収と再利用の循環システムを作ることで資源の無駄遣いを減らすという趣旨で行われている活動もあります(注4)。 コンビニに放棄されたビニール傘を回収して提携店舗に置き、雨の時、無料で貸し出しする渋谷区の「シブカサ」。市の交通局などから放棄された傘を提供してもらい、市営地下鉄や私鉄の駅、路面店の専用傘立てに配置する「和やかさんの名古屋傘」といったシステムなど…です。
その他、多くのメーカー、販売業者、そして消費者団体も、環境に配慮した活動を展開し始めています。わたしたちにとって今日とても重要な問題となった環境。上記のようなさまざまな取り組みに触れて、自分たちに何かできることがないのか・・・消費者の一人として、上記の傘をテーマに以下少し考えてみたいと思います。
‘傘を購入して使う’・・・下記の@〜Cのパターンを想定してみましょう。
@ビニール傘は買わず、(環境にやさしい、焼却可能な素材を使った)普通の傘を選択、使い続けるパターン。
二つのグループが考えられます。
一つは、もともとビニール傘を買わない、使わないグループです。このグループには、ブランド傘、折りたたみ傘などを使用する比較的年齢の高い方が多いようです。
もう一つは、以前はビニール傘を使っていたが、ビニール傘という使い捨ての文化に疑問を抱き始め、普通の傘を使うようになったグループです。このグループには比較的若い人たちが多いようです。 ここ数年、リーズナブルな価格帯でありながら、機能性はもちろんファッション性に優れた傘が増えてきました。ビニール傘並の安価なおしゃれ傘が増えたことがこうしたトレンドを促進しているのかもしれません。(注5)
Aビニール傘を選択、使い続けるパターン。
B焼却しても有毒ガスを発生しない素材を使った(上記のローソンで発売されているような)ビニール傘を選択、使い捨てるパターン。
(せっかくいい素材のものを買ったのに、使い捨てるというのはもったいないと思いますが、有毒ガス発生の原因を増やすという行為よりはまだましだと思いましたので、一つの選択肢として取り上げました。)
Cビニール傘を選択、使い捨てるパターン。
地域によって差異がありますが、ビニール傘を一本も持っていない人(パターン@)は4割弱、一本以上所有し、使っている人は6割超です。その中には、なんと6〜10本も持っている方がいるようです。(注6)
(価格が)安いから、あるいは、よく置き忘れてしまう・・・という理由でビニール傘を‘愛用’されている方々(=パターンC)。環境を考えるならば、ビニール傘はやめて、是非、パターン@に変わっていただきたいと思います・・・が、上記の比率からみると・・・どうも難しいようですね。
置き忘れ・・・仕方ない(また買えばいい)。不意の雨・・・その辺で(ビニール傘を)買えばいい・・・。確かに仕方ないといえばそうでしょうし、その辺で手軽に買ってもらうためのビニール傘ですから、このようなご意見は当然といえば当然だとは思います。
しかし、こうした考え方が大多数というままでは、いくら環境に配慮した製品を提供してもらっても、環境への負担・負荷を確実に低減していくことは難しいのではないでしょうか?
もちろん、環境に配慮した素材を使った傘・・・必要な数量を、必要なときに、必要なところに配置して、不意の雨の場面でも、‘使い捨てることになっても仕方ない傘(=ビニール傘)’をわざわざ買わなくても済むような仕組みができたら、置き忘れなどを気にしなくてもよくなるでしょう。
しかし、基本は、少しでも、環境に負担をかけないようにするというちょっとした気持ちを、わたしたち消費者の一人一人が行動に移すということが大切だと思います。
ビニール傘という製品の存在自体を否定するつもりは毛頭ありません。申し上げたいのは、手元の一本のビニール傘を、長く使い続けていただくこと。一人一人が、傘を少しでも長く持ち続ける・使い続けるようになれば、この小さな取り組み効果の山積は、環境負荷低減に一定の効果を持つものになっていくでしょう。
まずは、わたしたち一人一人が気をつけられることからはじめるべきです。それは面倒なことかもしれません。たとえば・・・‘うっかり’やってしまう‘置き忘れ’をしないようにする。天気予報を確認してから出かける・・・といった身近なことからはじめる‘日常の注意’。こうしたとても小さなことを一つ一つ、確実に・・・それがわたしたち一人一人ができること、すべきことだと考えるからです。
(曲)
(注1)出典:2006年5月31日(水)〜6月5日(月)に、7,951名を対象に実施した「雨傘」に関する調査(インターワイヤード株式会社)
(注2)出典:2008年5月27日スーパー・コンビニ記事(日経トレンディネット)
(注3)出典:CATE LA Co.ltd ホームページ
(注4)出典:2008年 6月 12日 木曜日 産経新聞 東京朝刊 生活面
(注5)出典:2006年7月19日 FASHION おしゃれ雨具 レポート(ACROSS Street Fashion Marketing)
(注6)出典:2008年6月10日、11日、51,068を対象にした「傘」に関する調査(株式会社ウェザーニューズ)
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