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過去のマンスリー・トピックス
毎月、企業や社会の諸活動の中で気になるテーマ・話題に関するひとことエッセイや、とても有用な書籍へのひとこと書評を掲載中。 最新号、及びその他の過去のトピックスはこちらから。
◆2008/6 
激流中国におけるマーケティング展開を考えるにあたって・・・

‘中国’と言われて多くの人たちが抱くイメージの一つに、(物価、人件費・・・が)‘安い’という印象があげられるでしょう。
世界中のさまざまな国がその人件費の安さに魅力を感じて中国に進出しました。 その‘安さ’ゆえに中国は長らく、外国企業にとってはグローバルに遍在するユーザーに安定して製品を供給していくための低コスト・大量生産を可能とする場となってきました。
そして、それは中国国内企業にとっても同様です。 中国のマーケットは低価格な商品がふんだんに流通し、今日の発展の基礎となりました。
しかし、この10年、状況は様変わりしてきています。商品、品質、広告、サービスのあらゆる面でマーケティング戦略を変えなければならない時代になってきていると考えます。
その背景を次の三つの面から考えてみたいと思います。

まずは、中国の消費者の変化です。
中国が経済改革を踏み出したのは1979年。その時代、人々は貧しい時代・貧しい生活の中、消費するよりはまず貯金する、そして必要以上は買わないという傾向が大勢を占めていました。 これらの人たちが実は2000年以前までのマーケティングのターゲットでした。それが2000年以降、新たなマーケットが顕在化してきています。1980年以降に生まれた現在20代の若者たち、中国で「80後」と呼ばれている人たちです。
改革開放の政策の下で、新しいモノ・コトにチャレンジしてきた「1人子」である「80後」たちは、品質にこだわり、ブランド品が好きで、今日では常に消費の先端に立っています。 20代と言えば、日本ではまだまだ・・・という世代でしょうが、中国の社会、とりわけ企業・ビジネスの場面では、既に実績を出し、頭角を現わす人材も多く出現し、組織の中でマネジャー層を狙う(あるいは既になっている)人たち、すなわち、これからの中国の発展に中心的な役割を担う若者です。
さらに、これらの若者は、中国文化だけではなく、欧米、韓国、日本の生活スタイルにも多くの影響を受けて、経済面でも余裕があるので、自分なりの生活スタイルにこだわります。まさに新しい消費スタイルの代表者/リーダーといえる人たちです。 彼ら以前の旧ターゲット(中国が現在よりも貧しかった時代を経て(上記)2000年以前までの生活者社会の中心であった人たち)がまずはお金を貯めてから、住宅、車など高価な製品を買うという傾向にあったことに対して、これらの若者たちは、ローンを組んでも欲しいモノを先に買うという消費志向が強いグループです。 商品に対しても、技術、性能といった極めて実用・機能的な側面だけではなく、カラー、デザイン、ブランド、サービスといった、いわば、付加価値・心理・感性的な側面を重視します。これらの側面の特徴において、彼ら彼女らが欲する一定の条件を満たせない商品はすぐ見捨てられると言っても過言ではないでしょう。
サービスという点について1つ例を示しましょう。2001年、携帯業界は、保証期間内であれば無料修理、交換、返品を保証する「三つの保証制度」を導入しました(すでに日本では当たり前のサービスですが・・・)。もし企業がこの制度をきちんと守らない、あるいは、ごまかしたりしたならば・・・その企業の製品はもはや誰にも買ってもらえなくなるはずです。

二つ目の視点です。
著しい成長がゆえに、欧米の巨大企業といえども、中国ローカルの企業を軽視できなくなってきたという事実があげられます。
2003年、中国国内携帯電話メーカ―の‘波導’が長年トップの座にあった欧州の巨人‘モトローラ’を引き下ろして、初めて中国一になりました。同時に上位5位の中、中国企業がトップ3を占めるようになりました。 これらの企業の成功は、中国の従来の成功要因だった、低コスト・低価格だけによるものではありません。欧米・日・韓の企業との競争の中、短期間で多くを学び、多くを研究、そして独自に新たな勝ちパターンをつくりあげてきた成果だといえるでしょう。同様の事態がさまざまな産業においても生じています。
家電業界の‘ハイアール’、パソコンの‘聯想’なども中国のブランドとして知られていますが、これら中国企業はいずれも外資企業と伍して勝る実績を収めつつあります。

そして、三つ目の考察です。
外国企業側にとってもはや低価格戦略は中国国内マーケットでは成立しえなくなってしまったことです。
このことは、中国に進出した製造業界はおそらくとても身近に感じておられるはずです。初期の頃、中国に進出した外国企業の大半は製造業でした。それは、中国の安価な人件費を魅力とした工場の新設・移転を中心とした動向です。 それが近年、中国政府は、相次いで「新労働法」を施行し、社員の賃金、福利厚生などの全般的な調整を図ることで、外国企業との人件費および人件費付帯経費といった労務費の改善を進めてきました。物価の急騰に伴い、各下級省政府も相次いでそれに対応できる政策を出してきています。さらにまた、中国における外国企業は従来その比較的高額な報酬をもって中国ローカルの優秀な人材の採用を進めてきました。 しかし現在、外国企業にとっては、以前ほど容易に優秀な人材を獲得することはできなくなってきています。報酬のみならず、仕事のやりがい、システム、職場としての働きやすさ・・・など、外国企業と中国ローカル企業との差異がどんどん縮小しているのです。先ごろ私は、中国にいる友人(天津在住)との会話でわかったこと・・・日本(私)の給料と友人の給料、保険と家賃を除いて、手取りはほぼ同じぐらいでした。 外国企業にとって、ただ単にオペレーションを中国で行うというだけでは、コストの優位性はもはやなくなってしまったといえるのではないでしょうか。

過去の消費者と異なる消費者を相手にして、現地/ローカルの企業と競争する上では、商品の性能、品質、広告、サービスなどあらゆる面で、考え方を変えなければなりません。中国は驚くほど速いスピードで変化しているからです。その変化に対して変化で対応する。それをうまく成し遂げる企業とそうではない企業・・・。
そうした変化の激流うずまく中国で、マーケットの最前線に‘最接近’することですばらしい実績を出した外資携帯電話メーカーもあります。技術・機能の面では、中国の新しい消費リーダーたちの心理に訴える、3G、JAVA、Bluetoothなどの技術を続々と導入し、また彼ら彼女らの多様な嗜好に合わせたカラー、デザインを選択肢として提供。中には自国よりも中国市場で先に新しい機種を投入したメーカーもあります。
また、世界唯一の漢字文化圏である中国市場の特性に対して、グローバルで統一化しているコーポレート・ブランドをあえて中国の市場のためだけに中国語(漢字表記)のロゴにつくり替え投入しています。シーメンスはほぼ同じ発音のネーミングとして「西門子」を、ソニー・エリクソンは「索尼・愛立信」としてビジネスを展開しています。

中国は外国企業に対して、巨大な市場になったと同時に、世界で最も激しい競争が繰り広げられる戦場にもなりました。競争・戦いに勝つために・・・、人材を集めて、自社の戦力を高めて、より高品質の製品・サービスを提供する動きはもう中国では当たり前の動きとなっています。
人・モノ・金、そして情報までをも手中にし、成長・拡大を図るようになった中国ローカル企業と外国企業との間にはもはや差はなくなってきています。
さて、これからどうしていったら・・・!?
欧米のみならず、中国においても、外資・ローカルを問わずご支援を行っているダイナアーツ。わたしたちスタッフはもとより、ローカルに根ざすダイナアーツのパートナー企業・・・そのダイナミックなプロジェクトワークが、皆さんにとって必ずお役に立てるものと思います。

(曲)


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