◆2008/4
情報 … その源流・源泉への接近
4月、新しい年度が始まりました。しかし、つい先週まで…輸出を基調とする基幹産業の多くが、急激な円高基調の中、益出しに苦しんだ07年度の第4四半期でした。
一方では、ガソリン暫定税率問題、日銀次期総裁問題、依然不透明感を極める社保/社保庁問題…私たち国民にとってとても大切な多くの事柄が政局ネタにすり替えられてしまい、昨今のわが国の国内情勢はますます混迷の度を深めるばかりのように映ります。
さて2008年度はどんな1年になるのでしょうか。あと4ヶ月後に迫った北京オリンピック、その1ヶ月前には洞爺湖サミット…と国際的な‘イベント’目白押し…ですが、私の今年の最大の関心事は、第44代アメリカ合衆国大統領を決する11月4日の大統領選にあります。
現職の大統領・副大統領共に出馬しない大統領選としては1928年のクーリッジ大統領とドーズ副大統領以来80年ぶり…という珍しさもさることながら、いつになく注目を集める主たる理由は、言うまでもなく、個性溢れるニ人の候補者が同じ党派(民主党)の指名候補争いを一騎打ちで演じている様にあるといえるでしょう。
本稿で、このお二人の論戦をどうこうと寸評するつもりはありません。しかし、国際社会にとって、そしてわが国にとって、好むと好まざるとに関わらず甚大な影響力を持つ国、アメリカ合衆国。その向こう4年間(場合によっては8年間)のありようを担う同国トップを選ぶ大統領選。
その候補者たちが、わが国との関係をどうとらえ、どう考えているのか…という点は、日本の多くの人たちにとっても関心のあるところではないでしょうか。
私が日頃目を通している雑誌の一つに「Foreign Affairs」( http://www.foreignaffairs.org/ )という雑誌があります。アメリカで最も影響力のある雑誌として選ばれた米外交問題評議会(CFR)のジャーナルです。
昨年、この雑誌に大統領選の候補者たちの施政方針ともいうべき論文が掲載されました。以下、気になる3人の候補者(民主党:H.R.クリントン氏とB.オバマ氏、共和党:J.マケイン氏)の直近の論文の中に発見した‘私がとても気になること‘をご紹介します。
(スペースの関係上、部分だけの抜粋になりますがご容赦ください…)
まず、ヒラリー・クリントン(Hillary Rodham Clinton)氏は、Foreign Affairsへの寄稿論文‘Security and Opportunity for the Twenty-first Century(21世紀の安全保障と機会)’(Foreign Affairs, November/December 2007)の中で、これからのアジアにおいて、Strengthening Alliance(同盟関係を強化する)という小題にて、次のように述べています;
‘Our relationship with China will be the most important bilateral relationship
in the world in this century. The United States and China have vastly different
values and political systems, yet even though we disagree profoundly on issues ranging from trade to human rights,
religious freedom, labor practices, and Tibet, there is much that the United
States and China can and must accomplish together. China's support was
important in reaching a deal to disable North Korea's nuclear facilities.
We should build on this framework to establish a Northeast Asian security regime.’
ポイントは1行目、「今世紀において、アメリカが世界中で最も重視する二国間関係は、中国(との関係)である」と彼女が言い切っている点にあります。さて、アジアにおいてアメリカが最も重視する国は、唯一の同盟国である日本であるはず…なのですが、彼女は、その事実を軽視している(?)、無視している…のでしょうか。
では一方の、前述のヒラリー・クリントンと一騎打ちを演じている、民主党候補、バラク・オバマ(Barack Obama)氏の主張における日本にかかわる視点はどうでしょうか? クリントン氏と同様にForeign Affairsへの寄稿論文‘Renewing American Leadership’(Foreign Affairs, July/August 2007)において、
Rebuilding our partnership(われわれのパートナーシップを再構築する)という小題で次のように述べています;
‘And as we strengthen NATO, we must build new alliances and partnerships in other vital regions. As China rises and Japan and South Korea assert themselves, I will work to forge a more effective framework in Asia that goes beyond bilateral agreements, occasional summits, and ad hoc arrangements, such as the six-party talks on North Korea.
We need an inclusive infrastructure with the countries in East Asia that can promote stability and prosperity and help confront transnational threats, from terrorist cells in the Philippines to avian flu in Indonesia.
I will also encourage China to play a responsible role as a growing power -- to help lead in addressing the common problems of the twenty-first century. We will compete with China in some areas and cooperate in others. Our essential challenge is to build a relationship that broadens cooperation while strengthening our ability to compete.’
このオバマ氏の主張の中で気になるのは2番目の文章;‘I will work to forge a more effective framework in Asia that goes beyond bilateral agreement, …’です。つまり、‘二国間の取り決め(つまり日米間における同盟関係のことを示すものです)’を‘超えて’、アジアにおけるより効果的な枠組みをきちんとつくり上げていくことに努めていく…と述べています。
上記のクリントン氏のように、長年にわたる国家間レベルでの既合意の安全保障の枠組みに明示されているアジアにおける日本のプレゼンスに対する優先順位の履き違えこそありませんが、多国間による新たな関係づくりを標榜するということはすなわち、これまでの日米の二国間の枠組みを見直すこと、
言い換えれば、アメリカは今後、日本に対する期待値を調整する(下げる)ということを意味しているものと考えられるものではないでしょうか?
それではもうお一人、共和党候補のジョン・マケイン(John McCain)氏の日本に対する見方はどうでしょう。
同じく、Foreign Affairsへの寄稿論文‘An Enduring Peace Built on Freedom’(Foreign Affairs, November/December 2007)の一節、Shaping the Asia-Pacific Century(アジア太平洋の世紀を形成する)という小題で次のように述べています;
‘The key to meeting this and other challenges in a changing Asia is increasing cooperation with our allies. The linchpin to the region's promise is continued American engagement. I welcome Japan's international leadership and emergence as a global power, encourage its admirable "values-based diplomacy,"
and support its bid for permanent membership in the UN Security Council.’
(…変貌するアジアにおいては同胞との協力関係を増幅していくことが鍵だ…(中略)…私は日本の国際的なリーダーシップとグローバル・パワーの一翼を担うプレゼンスを歓迎している。(そして私は)我々と根底の価値観を共有した(日本の)賞賛されるべき外交を後押しし、国連安保理の常任理事国入りをサポートするものだ。)
私はアメリカ国民ではありません。ですから私自身がどの候補者を支持するか…などということは意味がないことです。しかし、上記の‘有力’な3候補の基軸たる施政方針の中における日本の位置づけ…、その歴然たる差に少々驚きを隠せません。ニュアンスなどという微妙な違いではなく、歴然たる差です。
重要なのは、こうした‘内容’‘差’は、日本における新聞他メディアではほとんど伝えられていないという事実です。
私たちの仕事は、企業他お客様の事業活動における重要課題へのソリューションを一つ一つ‘響創’し、その具体化への取り組みの‘響動’をバックオフィスとしてご支援申し上げていくことです。そのご支援の初動〜過程において欠くことのできない作業がお客様の内外の情報に対する調査・分析活動です。
そこで私たちが常に意識し、努めていることが、(当然、作業を進めるにあたってはNDA(機密保持契約)を結ばせていただいた上で…)お客様にかかる固有の情報はもちろんですが、さまざまな事象にかかる情報に関して、二次情報を越えて、‘源流’‘源泉’に最接近するということです。
グローバル化と叫ばれて久しい今日、グローバルに展開されるお客様との協業のために、私たちダイナアーツは、情報収集・整理〜分析活動においても、可能な限り、三現主義(現場・現実・現物)をもって臨ませていただいています。当然といえば当然ですね。情報は、その源流・源泉に迫れば迫るほど、迫らなければ見ること/知ることのできなかった真実が表出してくるものですから。
さて、これからが本番のアメリカ大統領選。皆さんもまた違った視点でその動向を追いかけてみられてはどうですか?
(加藤)
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