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過去のマンスリー・トピックス
毎月、企業や社会の諸活動の中で気になるテーマ・話題に関するひとことエッセイや、とても有用な書籍へのひとこと書評を掲載中。 最新号、及びその他の過去のトピックスはこちらから。
◆2008/2 
週末に永ちゃんは美味しそうにビールを飲むのは何故か!?
〜ザ・プレミアム・モルツの成功に見るプレミアム戦略〜



ゴクゴクゴク・・・ 「ぷっはぁ〜〜〜」

いきなり失礼いたしました。仕事の後の一杯はたまりませんが、普段みなさんはどんなビールを飲んでいますか?

私はお酒の中でもビールが一番好きと自他共に認めるビール党ですが、普段は第三のビール、何かの記念日やうれしい事があった時、週末などは、ちょっとふんぱつして、ザ・プレミアム・モルツやエビスビールなどのプレミアム・ビールを飲んでいます。 最近はこうしたちょっとした贅沢を楽しむ人が増えて来ています。その中でもプレミアム・ビール市場を開発したといってもいいザ・プレミアム・モルツが売れています。CMに出ているロック界のスーパースターの永ちゃんの影響もあると思いますが、どうやらそれだけではなさそうです。 今回はザ・プレミアム・モルツ(以下プレミアムモルツ)の成功例とプレミアム戦略について考えてみたいと思います。

まずこれはビールに限ったことではありませんが、今消費者は二極化していると言われています。つまり上と下が売れていて中価格帯が苦戦している現象です。

ビールで言えば、下の第三のビールの出荷量は販売を開始した2004年2,400万ケース、2005年8,000万ケースに急拡大、2006年には9,600万ケースにまで伸びています。また上のプレミアムモルツは2004年60万ケースだったのが、2005年125.6万ケース、2006年550万ケース、 そして2007年は1,300万ケース(見込み)と凄まじい伸び率を示しています。350mlの実売価格が100円〜130円の第三のビールと250円のプレミアムモルツ、価格差が約2.5倍もありますが共に売れています。そしてそのあおりを受けて中間価格帯のレギュラービールの売れ行きは落ちてきています。これは何故でしょうか?

ひとつには日本の消費者の成熟化が上げられると思います。成熟化した消費社会の中で、こだわる消費とこだわらない消費に分けて考える消費者が増ええきていることです。極端に言えばポルシェで100円ショップに買い物に行くような人たちです。

そしてその考え方が買回品(※1)だけでなく、最寄品(※2)にまで広がってきました。ただ最寄品の場合は例えば1本何万円もするビールというのではありません。ちょっとした自分へのご褒美、ちょっとした贅沢、日常を特別なものにする小道具として、手の届く範囲の価格でプレミアムなビールやアイスを使い「小さなハレ」を体験できる「ちょっとプレミアム」な商品たちです。

プレミアムモルツもまさにこうした消費者心理や行動の後押しを受けて爆発的な売れ行きをみせていると思います。ただ当たり前ではありますが、プレミアムな商品なら何でも売れる訳ではありません。実際プレミアムモルツも微妙にネーミングは違えど1989年から発売されていますが、2004年以前はここまで爆発的に売れてはいませんでした。 ではプレミアムビール市場を開拓しそのリーダーとして君臨するための戦略とはどんなものでしょうか?5つのポイントで見てみたいと思います。
@市場を見る目・・・低価格ビールでの競争が激化している中、プレミアムビールの代名詞的存在のエビスビールが変わらず売れていることに着目。“ちょっとした贅沢“をしたい消費者心理の存在を確認し、もともとあった「プレミアムモルツ」を戦略的に売り出すことに。

A思い切った集中投資・・・ビール類の予算の大半をプレミアムモルツに投入。プレミアム営業部・プレミアム戦略部という新たな部署も新設。まさに人と金の資産を思いきって投資。

B絶妙なコンセプトワーク・・・「最高金賞のビールで最高の週末を」。モンドセレクション金賞に選ばれことに伴い、それまでの「麦芽100%」などで品質の良さをアピールしてきたのを、第三者が客観的に素材の品質を評価したことを表せる「最高金賞のビール」という表現と、 「小さなハレ」を演出する小道具として使っていただくことをベネフィット(便益)として表現する「最高の週末を」を組み合わせた絶妙なブランドコンセプトにより差別化が難しいビールの中で差別化に成功。

C年間52週のプロモーション展開・・・例えば花見や家族の誕生日や、お祝い事のようないろいろ「小ハレ」のときに、プレミアムビールの潜在的なニーズを顕在化させるようなコミュニケーションメッセージ、店頭マーチャンダイジングを立案し実施。

Dカテゴリーマネージメント提案・・・プレミアムビール市場が今のようにハッキリと確立する前に、プレミアムモルツだけでなく、エビスはもちろんのこと、キリンやアサヒなどの他社のプレミアムビールを含めたカテゴリーマネージメント提案を小売店に実施することにより、カテゴリーキャプテンの地位を確立。

市場分析、コンセプトワーク、組織体制、マーケティング戦略づくり、店頭での施策での実行などを的確にそして大胆に実行することにより、プレミアムモルツはプレミアムビール・カテゴリーをリードし売上を伸ばし続ける成果を得ることが出来たという事がお分かりいただけたかと思います。

今後もビールやアイスに限らず、消費の二極化は続くことが予想されます。特に中間価格の商品は下の価格競争に巻き込まれることなく、いかに商品に機能的価値と情緒的価値の二つの高付加価値を付けて上のゾーンを目指すか、(またプレミアム商品の強化により中間価格帯での競争を優位に進めるか)は今後の重要な問題です。 私達ダイナアーツでも市場分析、コンセプトワーク、組織体制、マーケティング戦略づくりから店頭での施策実行も含めたプレミアム戦略の開発やブランド価値向上のための取組みづくりなどを机上の空論ではなく、実行可能で実効性がある施策づくりと施策実行のお手伝いをさせていただいております。

仕事の後に美味しい“プレミアム”ビールで乾杯するために・・・ 

ご相談お待ちしております。

(木)

※参考文献 「プレミアム戦略」(遠藤功著)
松岡一衛氏(サントリー/元プレミアム戦略部部長)インタビューより

※1)買回り品…その商品を買うために複数の店を見て回り、価格、スペック、デザインなどを比較して決める商品 家具や電化製品など
※2)最寄品…日常的に高頻度で購入される商品  野菜・魚・肉・日用雑貨品など



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